2009年04月17日
ミミズ丼(どーーーん)!?(ブログ第1036日目、雑感。)
今回は「食べ物」から沖縄の民話を曲解…いや、新解釈してみます(?!)
(写真と本文は関係ありません…。ないですよね…?)
ちょっと季節は遡ります。
二月は…といっても沖縄では旧暦になりますが、沖縄では「二月風廻り(ニンガチ・カジ・マーイ)」の季節でした。
これは新暦3月頃に発生する小規模の低気圧のことです。
強い季節風を伴い、海上が台風並の大シケとなります。
地域によっては「二月カジマヤー」(注:「カジマヤー」と発音は同じでも「風車祭」ではありません。)と言うらしいです。
沖縄には、以下のような民話があります。
(ちょっと長いので、要約してあります。)
二月カジマヤーの話
--------------------------------------------------------------------------------
むかしあるところに、母、息子、娘の親子三人が住んでいました。
病で、夫に早く死なれた母親は、わが子達を早く一人前に育てあげるのを生きがいとして、一生懸命はたらいていました。
母親の念願がみのり、やがて息子は嫁をもらい、娘は隣り村に嫁がせることができました。
しかしその矢先、、母親は病魔におそわれ、失明し盲人となってしまいました。
息子の嫁の世話で一生をおくらなければならない身となったのです。
このような生活が続くなかで、嫁は親に対する気持ちが、だんだん変わっていきました。
でも、盲人の母親は、それとも知らず、毎食あたえてもらう食事に満足していました。
ある日母は、嫁いで行った娘にも食べさせてあげようと思い、おかずを残しておき、娘の来るのをまっていました。
母はやってきた娘に、
「毎日、こんなにおいしい物を食べているよ。あなたにあげようと、残しておいたよ」
と言って残しておいた食べ物を出しました。
娘はこれを見て、おどろき仰天してしまいました。
これまで母親に食べさせていたものはなんと、ミミズを炊いたものだったのです。
母と娘は、嫁のこのようなやり方に対し、あわれに思い、泣き伏せてしまいました。
それから幾日か過ぎ去り、母は息子夫婦を呼んで、
「北の島(ニチヌシマ)に宝物を埋めてあるので、取りに行きなさい」
と言いました。
これを聞いた欲深い息子夫婦は、大変喜び、母が言うとおり、さっそく船を準備し、北の島に向けて出航したのです。
一方、船が航海している途中、母は、用意しておいた葉扇で呪いながら、北の島に向かって扇を振りまくりました。
すると、今まで快晴であった天気が、急変し大風雨が吹きまくりました。
あっという間に息子夫婦が乗っていた船は、大波にのまれ、海のもくずとなったのです。
そのことがあって以来、二月が来るときまって、カジマヤーが吹くようになったと言い伝えられています。
--------------------------------------------------------------------------------
ミミズ…うーん、ちょっと、いやかなり食べたくないですよね。
昔、椎名誠の「全日本食えばわかる図鑑」に「ゴカイ・青イソメ丼」なる妄想的食物が出ていたのを思い出します。
ミミズを食べさせる嫁…というと、それはそれは“鬼嫁”という形容詞がぴったりくるような感じがします。
そして、鬼嫁に操られた馬鹿息子。
これは、盲目の老婆の涙の復讐劇の物語として語り継がれる民話です…((((;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
でも、ミミズを食べる話って、聞いたことありませんか?
例えば、
「某ハンバーガー店では牛肉の代わりにミミズを使っている」
という都市伝説が有名ですよね?
現実的に考えてみると、泥臭いミミズを食べられるように泥抜きして加工する手間はあまりに大変なものですが…。
では、そもそも“食用ミミズ”なるものは実在するのでしょうか?
実は、食用ミミズは実在します(!)。
漢方薬などに使用される高価な食材だそうです。
通称「ミミズ酵素」(正式には「ルンブルクス ルベルス」)には、血栓溶解酵素が含まれているとのこと。
脳梗塞や心筋梗塞の予防などに良いらしいです。
実際、インターネットでも販売しています。(よーかいは漢方薬については門外漢ですので、正式な効能の責任は持てません…。)
にしても、売れているんでしょうか…?(; ̄∀ ̄A
さて、古来より沖縄ではミミズはどう扱われてきたのでしょうか?
沖縄の長寿食の源、「医食同源」を民俗学的観点から、昭和54年~55年において沖縄県53市町村で民間薬の伝承の聞き取りを目的とした、フィールドワークの記録が残っています。
それは「沖縄民俗薬用動植物誌」(監修:飛永精照、ニライ社発行、2000円+税)という本です。
そこには、食べられるものであるなら、たいていの食材は載っています。
そこで調べてみることにしました。
ミミズ…。
やはりありました!
『薬効:
熱さまし、ブリヤキ・タリニツ(微熱が出たり止んだりする)、産褥熱、風邪、喘息まじりの咳、結核、腹水、淋病、虫下し』
「治療法」の項目を見ると、白い首輪のミミズを煎じて飲むと風邪や喘息まじりの咳に効くと書いてあります。
淋病に対しては、
『ミミズの泥を吐かせて、煎じて、肉と混ぜて食べた』
とありますが、本当に効果があったんでしょうか??
ともかく、いろんなものに効く薬として使用されていたようなのです。
こうして見てみると、もしかすると、
ミミズは老人にとって、最高の健康食だったのではなかったのでしょうか?
もちろん、上記の民話によるとミミズを食べさせられたのを知って、娘もおばあも怒るくらいですから、あまりポピュラーではなかったのでしょう。
でも、よく考えてみてください。
泥をきちんと抜いて、食べられる状態にするには、いったいどれだけの手間がかかったことでしょう?
並の食材にかける手間暇をはるかに超えるものだったはずです。
いやがらせにしては、あまりに手がこんでいます。
しかも、ミミズだと知らされるまでは「こんなにおいしいものを食べているよ」とおばあは感謝すらしているのです。
こう考えると、実は背景には、息子夫婦の深い愛情があったのではないのでしょうか?
なにより、その後、母親の話を疑いもせず北の島に行ってしまったことも、息子夫婦の人の良さを表しているのではないのでしょうか?
ミミズを食べさせていることを隠していたのだって、もしかしたら、一般的な食材でないので、おばあの心を乱してはいけないと思っての深謀遠慮な配慮だったのかもしれません。
きっと、もしもおばあが不審に思って、事前に一言でも息子夫婦にその意図を尋ねていたら、快く説明してくれたことでしょう。
それなのに…
それなのに…
ああ、こともあろうか悲劇は起きてしまいました。(TwT。)
おばあの思いこみは地獄の業火のごとき怨念の炎となり、息子のお嫁さんだけでなく、大事に思っていた自らの息子まで殺してしまったのです…!
なんて、悲しいすれ違いでしょう!
まるで、ジュリエットが死んだと誤解して自害してしまったロミオのようです。
だから、この民話は、実はそんなコミュニケーションのすれ違いの悲劇を二度と起こさないための教訓なのです。でしょうか?
そんなわけで、この記事をご覧になっている皆さんは、家族や恋人が自分の常識と違う行動を取ったとしても、暖かく受け止めましょうね。
もしも「ミミズ丼」が食卓にのぼったときには、
「自分の健康を気遣ってくれているんだな」
と、ちゃんと感謝しておいしくいただきましょうね。
たとえ、それが特盛りで、原型をとどめたまま、ほかほかご飯の上で“うようよ”うねっていたとしても…。
……
……
……って、そんなもん喰えるかいっっ!"ヽ(-□-メヽ)ごらぁっ
(写真と本文は関係ありません…。ないですよね…?)
ちょっと季節は遡ります。
二月は…といっても沖縄では旧暦になりますが、沖縄では「二月風廻り(ニンガチ・カジ・マーイ)」の季節でした。
これは新暦3月頃に発生する小規模の低気圧のことです。
強い季節風を伴い、海上が台風並の大シケとなります。
地域によっては「二月カジマヤー」(注:「カジマヤー」と発音は同じでも「風車祭」ではありません。)と言うらしいです。
沖縄には、以下のような民話があります。
(ちょっと長いので、要約してあります。)
二月カジマヤーの話
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むかしあるところに、母、息子、娘の親子三人が住んでいました。
病で、夫に早く死なれた母親は、わが子達を早く一人前に育てあげるのを生きがいとして、一生懸命はたらいていました。
母親の念願がみのり、やがて息子は嫁をもらい、娘は隣り村に嫁がせることができました。
しかしその矢先、、母親は病魔におそわれ、失明し盲人となってしまいました。
息子の嫁の世話で一生をおくらなければならない身となったのです。
このような生活が続くなかで、嫁は親に対する気持ちが、だんだん変わっていきました。
でも、盲人の母親は、それとも知らず、毎食あたえてもらう食事に満足していました。
ある日母は、嫁いで行った娘にも食べさせてあげようと思い、おかずを残しておき、娘の来るのをまっていました。
母はやってきた娘に、
「毎日、こんなにおいしい物を食べているよ。あなたにあげようと、残しておいたよ」
と言って残しておいた食べ物を出しました。
娘はこれを見て、おどろき仰天してしまいました。
これまで母親に食べさせていたものはなんと、ミミズを炊いたものだったのです。
母と娘は、嫁のこのようなやり方に対し、あわれに思い、泣き伏せてしまいました。
それから幾日か過ぎ去り、母は息子夫婦を呼んで、
「北の島(ニチヌシマ)に宝物を埋めてあるので、取りに行きなさい」
と言いました。
これを聞いた欲深い息子夫婦は、大変喜び、母が言うとおり、さっそく船を準備し、北の島に向けて出航したのです。
一方、船が航海している途中、母は、用意しておいた葉扇で呪いながら、北の島に向かって扇を振りまくりました。
すると、今まで快晴であった天気が、急変し大風雨が吹きまくりました。
あっという間に息子夫婦が乗っていた船は、大波にのまれ、海のもくずとなったのです。
そのことがあって以来、二月が来るときまって、カジマヤーが吹くようになったと言い伝えられています。
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ミミズ…うーん、ちょっと、いやかなり食べたくないですよね。
昔、椎名誠の「全日本食えばわかる図鑑」に「ゴカイ・青イソメ丼」なる妄想的食物が出ていたのを思い出します。
ミミズを食べさせる嫁…というと、それはそれは“鬼嫁”という形容詞がぴったりくるような感じがします。
そして、鬼嫁に操られた馬鹿息子。
これは、盲目の老婆の涙の復讐劇の物語として語り継がれる民話です…((((;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
でも、ミミズを食べる話って、聞いたことありませんか?
例えば、
「某ハンバーガー店では牛肉の代わりにミミズを使っている」
という都市伝説が有名ですよね?
現実的に考えてみると、泥臭いミミズを食べられるように泥抜きして加工する手間はあまりに大変なものですが…。
では、そもそも“食用ミミズ”なるものは実在するのでしょうか?
実は、食用ミミズは実在します(!)。
漢方薬などに使用される高価な食材だそうです。
通称「ミミズ酵素」(正式には「ルンブルクス ルベルス」)には、血栓溶解酵素が含まれているとのこと。
脳梗塞や心筋梗塞の予防などに良いらしいです。
実際、インターネットでも販売しています。(よーかいは漢方薬については門外漢ですので、正式な効能の責任は持てません…。)
にしても、売れているんでしょうか…?(; ̄∀ ̄A
さて、古来より沖縄ではミミズはどう扱われてきたのでしょうか?
沖縄の長寿食の源、「医食同源」を民俗学的観点から、昭和54年~55年において沖縄県53市町村で民間薬の伝承の聞き取りを目的とした、フィールドワークの記録が残っています。
それは「沖縄民俗薬用動植物誌」(監修:飛永精照、ニライ社発行、2000円+税)という本です。
そこには、食べられるものであるなら、たいていの食材は載っています。
そこで調べてみることにしました。
ミミズ…。
やはりありました!
『薬効:
熱さまし、ブリヤキ・タリニツ(微熱が出たり止んだりする)、産褥熱、風邪、喘息まじりの咳、結核、腹水、淋病、虫下し』
「治療法」の項目を見ると、白い首輪のミミズを煎じて飲むと風邪や喘息まじりの咳に効くと書いてあります。
淋病に対しては、
『ミミズの泥を吐かせて、煎じて、肉と混ぜて食べた』
とありますが、本当に効果があったんでしょうか??
ともかく、いろんなものに効く薬として使用されていたようなのです。
こうして見てみると、もしかすると、
ミミズは老人にとって、最高の健康食だったのではなかったのでしょうか?
もちろん、上記の民話によるとミミズを食べさせられたのを知って、娘もおばあも怒るくらいですから、あまりポピュラーではなかったのでしょう。
でも、よく考えてみてください。
泥をきちんと抜いて、食べられる状態にするには、いったいどれだけの手間がかかったことでしょう?
並の食材にかける手間暇をはるかに超えるものだったはずです。
いやがらせにしては、あまりに手がこんでいます。
しかも、ミミズだと知らされるまでは「こんなにおいしいものを食べているよ」とおばあは感謝すらしているのです。
こう考えると、実は背景には、息子夫婦の深い愛情があったのではないのでしょうか?
なにより、その後、母親の話を疑いもせず北の島に行ってしまったことも、息子夫婦の人の良さを表しているのではないのでしょうか?
ミミズを食べさせていることを隠していたのだって、もしかしたら、一般的な食材でないので、おばあの心を乱してはいけないと思っての深謀遠慮な配慮だったのかもしれません。
きっと、もしもおばあが不審に思って、事前に一言でも息子夫婦にその意図を尋ねていたら、快く説明してくれたことでしょう。
それなのに…
それなのに…
ああ、こともあろうか悲劇は起きてしまいました。(TwT。)
おばあの思いこみは地獄の業火のごとき怨念の炎となり、息子のお嫁さんだけでなく、大事に思っていた自らの息子まで殺してしまったのです…!
なんて、悲しいすれ違いでしょう!
まるで、ジュリエットが死んだと誤解して自害してしまったロミオのようです。
だから、この民話は、実はそんなコミュニケーションのすれ違いの悲劇を二度と起こさないための教訓なのです。でしょうか?
そんなわけで、この記事をご覧になっている皆さんは、家族や恋人が自分の常識と違う行動を取ったとしても、暖かく受け止めましょうね。
もしも「ミミズ丼」が食卓にのぼったときには、
「自分の健康を気遣ってくれているんだな」
と、ちゃんと感謝しておいしくいただきましょうね。
たとえ、それが特盛りで、原型をとどめたまま、ほかほかご飯の上で“うようよ”うねっていたとしても…。
……
……
……って、そんなもん喰えるかいっっ!"ヽ(-□-メヽ)ごらぁっ
Posted by よーかい at 02:30│Comments(4)
│一日の雑感。
この記事へのコメント
そういえば、ミミズバーガーって映画もありましたねw
Posted by ゆふぃ at 2009年04月17日 08:55
>ゆふぃさん
>そういえば、ミミズバーガーって映画もありましたねw
「ミミズバーガー」…。
この映画ですよね?
http://kyoto.cool.ne.jp/666_movie/mv201/index.htm
観たことありませんが、ものっそいB級映画らしいですね(; ̄∀ ̄A
しかも、原題が「ザ・ワーム・イーターズ」なのに、日本でタイトルをあえて「ミミズバーガー」にしたところに、なにかイヤガラセ的な意図を感じてしまってなりません(笑)。
>そういえば、ミミズバーガーって映画もありましたねw
「ミミズバーガー」…。
この映画ですよね?
http://kyoto.cool.ne.jp/666_movie/mv201/index.htm
観たことありませんが、ものっそいB級映画らしいですね(; ̄∀ ̄A
しかも、原題が「ザ・ワーム・イーターズ」なのに、日本でタイトルをあえて「ミミズバーガー」にしたところに、なにかイヤガラセ的な意図を感じてしまってなりません(笑)。
Posted by よーかい at 2009年04月18日 01:13
関係ありません。と、言いながらも明らかに店名をイメージさせる画像はどうか?と、思います。勝手な意見ですみません。今日たまたま小学校に採用された友達と熱く語ってたものですから。
Posted by 通りすがり at 2009年04月19日 20:28
>通りすがりさん
まあ、本文を読んで頂ければ趣旨はおわかりになると思います。
以前、そういった都市伝説が流布していたなぁ…と。
まあ、本文を読んで頂ければ趣旨はおわかりになると思います。
以前、そういった都市伝説が流布していたなぁ…と。
Posted by よーかい at 2009年04月20日 00:12