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2011年04月16日

上関原発予定地取材記。:2

それまでも過疎地だった風景が、橋を越えたとたん、さらに険しいものになりました。


上関は、大きな地図でみると一見半島状ですが、上関町役場の少し手前のあたりから、島になっています。
ぐるりと大きく回る橋をわたって、本丸の島へと乗り込んでいく感じなのです。

なお、橋の手前にはガソリンスタンドや郵便局、小さなお店がありましたが、ガソリンスタンドはその日は休み。
そこから先はガソリンスタンドも、お店らしいお店も見あたりません。(四代集落に、ごくごく小さな商店はありました。)



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とりあえず、地理には不案内なので、祝島行きのフェリーがあるという四代の集落に向かいました。
上関町役場からは、かなり距離があります。

左手には海、右手には深い山。
本当になーんにもないところですが、長島地区の「蒲井」というバス停があるあたりの右手の少し小高いところには、それまでの超過疎地からは不釣り合いな新しくて大きな施設が見えました。(これについては次回の記事で後述。)



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そこを通り過ぎると、道は海沿いの崖っぷちをへばりつくように細く、アップダウンを繰り返します。
完全な1車線。
車同士がすれ違うのは小型車でなければ困難でしょうし、台風など海が時化っているときには、この道は通れないでしょうから、四代地区は完全に孤立してしまうでしょう。

カーナビの付いた車で普通に走っていても、かなり不安になります。

集落としては、地図上では四代地区が上関の最も先なのですが、原発建設予定地はそこよりもさらに先になります。



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グーグルの地図でも、カーナビでも、一般道はそこで切れます。
携帯も完全に圏外を示しています。


上関原発予定地取材記。:2


さらに、もっと細い農道が四代地区からさらに山側に向かってしばらく続きますが、結局は行き止まりになりました。
後ほど知ったところによると、原発建設予定地はもっと手前で右側に折れて、細い道を分岐して行くのだそうです。
そちらも、普通なら車が通るなんて考えられないくらい、山深く細い、道なき道なのだそう。


上関原発予定地取材記。:2


車を降りてしばらく歩いてみましたが、どんどんケモノ道みたいに険しくなるばかりでラチが開かないので、仕方なく四代集落へと引き返しました。


ここからは、祝島行きのフェリーもでているとのことですが、防波堤と小さな桟橋はあるものの、フェリーの切符売り場も待合所も、フェリーの時刻表も、とにかくありとあらゆる「ここから船がでる」という痕跡のようなものは、隅々歩いてみても見あたりませんでした。
そもそも、ここまで訪れる観光客などはほとんど皆無なのでしょう。


集落前の大きな防波堤から集落を写してみました。
この写真に写っている部分以外は山です。
集落は、山にへばりつくように小さく展開しています。


上関原発予定地取材記。:2


防波堤をさらに歩いてみました。
もう夕暮れが近づいていましたし、天気も雨がそれまで降っていたのでしたが、防波堤の先端からは、それなりの水深があると思われる海の底まで見通せるほどの透明度でした。

防波堤には、船尾に『Energia』の文字の中国電力の旗を付けた船が何隻か停泊していました。


上関原発予定地取材記。:2


再び四代集落前をあてもなく歩きます。
もうほとんど日暮れでしたが、集落前の浜の海はやはり澄んでいました。


上関原発予定地取材記。:2


集落前には、タコツボが無造作に積み上げられていました。
けれども、この集落は漁村ではありません。


上関原発予定地取材記。:2


漁業もなく、携帯の電波も届かず、インターネットは確実にダイアルアップ以外は使えないでしょう。
少し海が荒れれば道は閉ざされ、陸の孤島になります。
病院は月に1度程度開くと思われる出張所(単なる憶測ではなく、過疎地はそういった形態の診療所が多いのです。)がありましたが、ちゃんとした医療機関はなく、柳井市街中心地までは1時間近くかかります。

その集落に住んでいる人達にとっては、そのわずか半径100m程度の場所がほぼすべての「世界」でしょう。

こんなところに教員で飛ばされたらイヤだなぁ……想像すると、気が滅入らずにはいられませんでした


祝島のように、漁業やいくつかの産物がある場所はまだ恵まれているでしょう。
しかし、上関では、そんな産物すらないのです。


いわゆる「原発反対派」の人達は、補助金を受け取るのを拒否し、独自の産業がある祝島を褒めますが、その「影」になる上関のことについて語っている言説は見たことがありません。

それどころか、独自の産業を形成してこずに安易に交付金に頼っていると、上関住民を責める言説すら散見されます。


けれども、それは安全な場所にいる“外部の人間”だから言えることでしょう。
そういった言説を吐く人達は、想像力が追いついていないと言わざるをえません。


上関住民を責める人達は、ここに住んでみるといいです。
1ヶ月ももたずに逃げ出すことでしょう。


けれども、ここの住民達は、一生この地と付き合っていかないといけないのです。



さて、いよいよ次回、これらの記事で書きたかったことの本質に迫ろうと思います。


(つづきます!)


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Posted by よーかい at 01:31│Comments(0)一日の雑感。
 
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