学習内容増、小学校教員の6割「ポイント絞って教える」

よーかい

2011年03月25日 19:00

4月に小学校で新学習指導要領が全面実施されて学習内容が増えることに、どう対応するか。
ベネッセ教育研究開発センターがアンケートをとったところ、小学校の教員の6割強が「ポイントを絞って教える」と答えた。
教員らは現在でも「基礎的・基本的な知識の習得」に重点を置いていると答えており、児童の負担を極力増やさないように工夫しようとしているようだ。



小学校教員の指導観

同センターは昨年8~9月、全国の公立小中学校の校長と教員にアンケートを送り、約6600人から回答を得た(回収率26%)。

 
学習内容が増える教科での対応を小学校教員に聞いた設問(複数回答可)では、「教科書の内容のうち、ポイントを絞って教える」が63.5%。
特に教職経験30年以上のベテラン教員では75.6%に達した。
一方、10年目以下の教員は「全体的に授業の進度を速める」も多く、経験の差による考え方の違いが出た。

 
小中とも6割を超える教員が「児童・生徒の学力格差が大きくなる」と予想する。

 
このため、1998年の同種調査と比べ、教員が重視する点は
「強制してでも学習させる」
「授業の楽しさを多少犠牲にしても、学問的に重要な事柄を押さえる」
「一人前の大人になるために必要なことを教え、訓練する」
が増え、
「自発的に学習する意欲や習慣を身につけさせる」
「学問的に重要な事柄よりも、子どもが楽しく学べる授業にする」
「子どもの持っている可能性が開花するのを支援する」
が減った。

 
新指導要領は課題を設定して調べ、まとめる「探究的な学習」にも力点を置くが、探究的な学習を進めることには5割強が不安を訴えた。

 
同センターの担当者は
「学力格差などから個別の対応が必要な子どもが増えており、探究的な授業を進めたい気持ちはあっても、実際には基礎基本に力を入れざるを得ない先生が多いようだ」
と話す。

 
新指導要領は中学校では来年4月から全面実施される。



(2011年3月9日 朝日新聞)

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