沖縄では、かなりカオスな看板を頻繁に見かけます。
「看板娘」とか「看板商品」という言葉があるくらいですから、看板はお店を象徴する“顔”ともいえるくらい大事なもののはずなのですが、どこかぞんざいで、投げやり感すら漂うのです。
初代プリキュアの黒い方じゃなくても、
「ぶっちゃけありえなーい!」
を連発すること必至です。
(そもそも、「プリキュア」とか出している時点で、ぶっちゃけありえません。)
そんな沖縄の看板ワールドへ、まずは「
洋子・そ」!
スナック系の看板は、魔界への入り口なのでしょうか?
少なくとも、軽く異次元へ飛ばしてくれるくらいの破壊力は有しているようです。
「
魔子」。
ホラー展開フラグが看板から立ち上っています。
扉を開けたら、『白いメリーさん』もびっくりの、顔面白塗りに真っ赤な口紅を引いたおばぁが、「にたぁり」と不穏な笑みを浮かべながら出迎えてくれそうです。
一見、お気楽極楽系のように見えて、色遣いは某消費者金融と一緒というトラップ。
「
年金族」。
年金をぜんぶ搾り取る気が見て取れます。
一方、以下の看板は
「同情するなら金をくれ!」
的な暗喩を感じさせるモノがあります。
「
スナック母子家庭」。
思わず、ちょっと前に流行った伊達直人現象みたいに、お店の入り口にランドセルを置いてしまいたくなります。
けれど、もしかしたら、その「母子」は90代のおばぁと70代のおばぁの組み合わせもありえなくはないのも、また沖縄の罠なのです。
ちなみに、「スナック母子家庭」は、昨年無事にオープン10周年を迎えたそうです。
お次は、世にシャネルのまがいものはたくさんありますが、こんな風にシャネルが使われるとは、シャネル創始者も考えてもみなかったでしょう。
「
酒音留」と書いて「しゃねる」。
一昔前の香港とかでは、
「ニセモノ、アルヨ~、ニセモノ~!」
と、わざわざ偽物アピールをして安いまがい物(当然、税関はアウト)を観光客相手に売っているお店がたくさんありましたが、それ以上の開き直りを感じます。
ここまで堂々と開き直られてしまうと、
「うん、酒と音と留でシャネルだよね。うんうん」
と、口元を斜め45度の角度に引きつらせながら、無理やり脳内に刷り込んで納得させようとさえしている自分の姿に気づいて愕然となるのです。
かといって、どこの看板も強烈な自我を主張しているかというと、そうともいえなさそうです。
中には、アイデンティティに悩んでいるとしか思えない看板も。
「
?」。
世界一短い電報じゃあるまいし、「?」と言われて「!」と返せるような心の準備はこちらだって持ち合わせていないのです。
看板が自己のアイデンティティに悩み始めたら、生暖かい目で放っておくしかありません。
しかし、「?」と問われたときに、「??」と返してしまうと、無限トートロジーの循環ループから永遠に抜け出せません。
ニーチェ風に言うと、永劫回帰です。
「?」はどこまでも不変のまま、輪廻のように巡るのです(謎)。
…書いていて、なんだかよくわからなくなったので、また続きます。 (たぶん)